Atsutaka Manabe

LP、そしてカセットテープ


Jan 4, 2015

子供のころ、Time Life社が出していたピアノ曲、LPの11枚組みが家にあった。自分でもレコードプレーヤーでかけていたのだから小学校のころであろうか。シューマンの子供の情景やモーツアルトのピアノソナタもあったけれど、メインはベートーベンやモーツァルト、そしてラヴェルなどのピアノコンチェルトなどであった。演奏はその半分以上がウィルヘルム・ケンプによるもので、そのほかはゲザ・アンダ、アルフレード・ブレンデル、そしてクラウディオ・アラウが入っていたような記憶がある。おのおののLPが入っている薄い中袋の右上には、父の手で、そしてなぜか青鉛筆で、曲名と演奏家名が丁寧に楷書で書かれている。

自分では好んでベートーベンのコンチェルト(3,4,5番)を選んだけれど、中でも皇帝はお気に入りだった。この演奏はアラウだった様な気がする。出だしも最後まで堂々としていて、それこそ繰り返して何回も聴いた。そのほかもドイツものがお気に入りで、ラヴェルのコンチェルトはしゃれているとおもいながらも、このころはあまり選ぶことはなかった。

小五になって、クリスマスのプレゼントに、これも父から初めてのラジカセを買ってもらった。ソニーのStudio 1700という型で、Googleで画像検索して数十年ぶりに対面したが。もうほとんど涙が出るぐらい懐かしい姿。週刊FMなる雑誌を手にエアチェックしまくった。 栄誉ある初録音曲はメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲。赤いラベルの、これもソニーのC-60なるカセットの片面に入りきるのかどうか、巻き取られて薄くなるテープリールを見ながらはらはらしたのを今でも覚えている。幸いテンポのいい演奏で、時間内にちょうど収まって事なきを得た。

そんな私がいまドイツにきて二十五年になる。あのころに刷り込まれた曲たちが、いまの私の音楽のベースになっている。

今日は父の誕生日。