Atsutaka Manabe

デュオコンサートの新聞評


Nov 30, 2014

コンサートから五日後、地元新聞の地域文化欄に私らのデュオコンサートのレビューが掲載されました。

ドイツ語が高尚で見たこともない単語が多く、辞書片手に和訳を試みるうち、この筆者がわれわれのコンサートを相当気に入ってくれたことがわかってきました。

以下、少し気がひけるのですが、掲載された記事のドイツ語原文を、私の日本語訳で記させていただきます。

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芳醇な演奏に対する存分なる拍手喝采

ベンスハイム:ドリー組曲は四手ピアノ連弾のための作品であり、フランスの作曲家ガブリエル・フォーレが1890年代に、長い年月にわたって情事関係にあり、後にクロード・ドビュッシーと結婚したエンマ・バルザックの娘のために書いた作品である。

六つの小さな音の贈り物は、子供の情景を反映しており、メロディーの深みと、強く訴えかけてくる素朴さにより聴衆を魅了する。それは昨日のような霧に包まれた日曜日を、長きにわたって明るく照らすことができるのである。

フォーレの子供の組曲は、特徴のある宝石のようにきらびやかなカットが多い作品であるが、それを日本のピアノデュオ、山田香織と真辺篤孝は、重みを感じさせない軽やかさと透明な音質をもって表現した。コンサートグランドを演奏する二人の音楽家を体験するために百人以上の聴衆がパークシアターのイゾルト・ロビーを訪れたが、多くの客は立ち見で満足しなければならなかった。しかしながらそのことは彼らの音楽的な享楽をほとんど損ねることにはならなかった。

きわめて効果的な一弾

今年のチャリティーコンサートによって、キワニスクラブはきわめて効果的な一弾を放った。2013年の二月に、キワニスの長は古典的なピアノ四重奏団として真辺を招聘した。今回は純粋なピアノコンサートとしての企画である。出だしはモーツァルトのニ長調ソナタKV381である。この天才少年は完璧なピアニストであり、四手のピアノ作曲の先駆者の一人でもある。

日本人のデュオは、このソナタをすばらしい透明度と、まさしく適正なテンポで弾き始めた。快活で、前向きに進むこの演奏のかたちは、もしモーツァルト自身が聴くことがあったとしたら、きわめて彼の気に入ったことであろう。二人のあわせはパーフェクト、ピアノの音色は丸くかつ華麗であり、きめはなみはずれて細かく、そして情熱に富んでいる。第一楽章のアレグロは非常に活気に満ち、高音部がリードを取っている。第二楽章のアンダンテは調和が取れていて、緊張感に富んでいるのにもかかわらず、表情豊かにシンクロナイズしている。第三楽章のアレグロ・モルトは独特のアコードからはじまり、その後、軽やかさと音楽的な要点を逸することなく、感銘を与える一体感のもとに、華々しいイベントとして前に突き進んでいくのである。

卓越した演奏

休憩の後、ヨハネス・ブラームスが1866年に作品39としてまとめた十六のワルツのうち、四つの作曲が響き渡った。ウイーンの影響力はプロテスタントの北ドイツ出身の作曲家の心をも動かさずにはいられなかった。ブラームスでさえ、四手のピアノ演奏をオーストリア風に改編したのである。

この作品がたとえ人生の喜びがほとばしりでるものではないとしても、メロディーとリズムが芸術的に自由な形式で扱われ、高貴な表現でまとわれている。ひとつひとつの作品は短く、導入部やコーダは省かれ、すべての無邪気さにおいて、やはり典型的なウイーン風である。1866年、ブラームスは居を最終的にここに移した。真辺と山田は生き生きとした曲の特質と小曲の緊張をはらんだ二律背反にしたがい、表現の豊かさに身をゆだね、これ以上ない深みを持って卓越したこの楽章の構成の複雑さを演じきった。その複雑さとはあからさまにワルツとは認識されないような構成のことであるが。

チャイコフスキーの手によるメルヘンのような ”くるみ割り人形組曲” が、要求水準の高くかつ楽しい日曜日コンサートの、華々しく最後を飾るフィナーレとなった。聴き手はバレエの第一幕から、その後に特徴あるダンスの連なりへの扉が開かれることになる、序曲とマーチを聴いた。そのあと短い “金平糖の踊り” と、燃えるように激しいロシアの “トレパック” が後に続くが、この後者はチャイコフスキーの出身国を想起させるものである。

そして組曲中のもっとも長い作品が、抒情詩風の、かつ色彩感ゆたかな花のワルツ。ここではチャイコフスキーのヨハン・シュトラウスとの音楽的な関連性が強調されている。

この花のワルツが序曲とともに組曲の枠組みを形作る。表情豊か、かつ繊細な連弾が心地よく耳に残るような二人の芸術家の芳醇な演奏は、パークシアターで盛大な拍手喝采を受けることとなった。

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