Atsutaka Manabe

Meiningen


Jul 10, 2015

前回のブログから、大分日にちが空いてしまいました。この間、実にいろいろな音楽関係の”事件”があり、どうやって書いていいのかわからないうちにまた次の”事件”が起こり、その連続でここまで何も書かずに月日が過ぎてしまったというのが実情です。でも、これ以上間を空けるわけにも行かないので、もっとも最近に起きた”事件”から、えいやっ、と書くことにします。

ドイツのMeiningenで行われたアマチュアピアノコンクールで、思いがけず三位をいただくことが出来ました。私にとってはファイナルラウンドの進出も初めてだったのに、入賞できるとは全く思っていませんでした。コンクール直前は仕事も忙しく、したがって曲の完成度を高める練習も充分にはできず、Motivationもそう高くはない状態で会場入りしたのです。ただし、演奏自体は気持ちを集中させ、コンサートでお客様に聞いてもらうように弾くことができたのが良かったのではないかと想像しています。このブログでなんとかの一つ覚えのように書いているベートーベンの作品111が予選のメインの曲でした。20分という制限時間の中、両楽章を弾くわけには行かないので、一楽章を同じc-mollの、ショパンの革命エチュードにすり替えて、その曲の終わりで手をあげずに滑らかにアリエッタにつなぐ、そんな趣向が審査員の方々にわかってもらえたのでしょうか。

semplice e cantabile. それなりに年をとって、この意味が少しずつわかってきたような気がします。小細工をことごとく排し、テンポは厳格にも思えるほど守り、でも自分の持っている気持ちを込めて演奏する、そうすると、シンプルであっても歌が聞こえてくるんだよ、とベートーベンに諭されている気がします。

決勝ラウンドでは、冒頭にハイドンのニ長調コンチェルトをコレペティの方と二台ピアノで演奏、その後ショパンでノクターンOp.55-2,幻想ポロネーズOp.61と続けました。ハイドンは上手なコレペティに乗せられて楽しく弾けたし、ノクターンは独自の解釈(?)、相当たっぷりめのテンポで自由に弾きました。締めの幻想ポロネーズは、ショパンの中では大好きな曲の筆頭で、かなり前から弾いてはいるのですが、私にとっては未だに難しい曲。いくつかの難所は正直無事クリアというわけには行きませんでしたが、それでもラストの部分は彼のほとばしる情熱を表現できたと思っています。

Meiningenという街、その昔ドイツ音楽の中心として重要な意味を持って栄えた街です。私の敬愛するブラームスが、晩年クラリネット吹きのミュールフェルトと出会ったのもこの街。彼はこの街の管弦楽団で吹いていたのです。コンクール会場の隣、直角に位置する博物館、そこでの展示に彼のクラリネットの実物を見た時には言葉が出ませんでした。いつか本番でブラームスのソナタ、Op.120をやってみたいものです。

ベートーベン Op.111, ショパン Op.61、そしてブラームス Op.120と、私の最近の関心は各作曲家の晩年作に向かっています。 私も相当の年になったということか、と自分を納得させています。